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ジャック・シム
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公衆衛生に関わる問題は、非常に切羽詰まったものとなっています。この問題を「笑い」に変えて改善しようとしているのが、ANA BLUE WINGが支援するチェンジメーカーの一人、ジャック・シムです。世界トイレ機構(the World Toilet Organization / WTO)の創設者であり、「ミスター・トイレ」とも呼ばれているジャックは、公衆衛生に関する政策議論を促進すると同時に、地方自治体やコミュニティが自ら問題解決に取り組むための支援を行えるように、トイレ問題をユーモアに包みながら問題を解決するべく活動しています。ANA BLUE WINGは今回そんなジャックの活動や発想の原点、これまでに直面した課題、そしてユーモアを活用したアクションがアドボカシー活動やビジネスにもたらす効果について話を聞きました。

画像WTOが国連本部前に設置して話題を呼んだ巨大な(風船)トイレ

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公衆衛生に関する問題の認知向上のためにユーモアの力を使っていらっしゃいますね。

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ジャック

私はひょうきん者なのです。幼い頃はコメディアンの真似ばかりしていました。ただ、ユーモアは人々を笑わせるだけの手段ではないと思っています。タブーな話題、例えばトイレ問題もそうですが、そこにユーモアを加えることで、話しやすいトピックに変えることができ、タブーな問題に関する議論を促進することができるのです。

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そうは言っても、ユーモアを交えてタブーな話題を伝えることは、容易なことではないと思います。ユーモアを使う発想は、活動当初からご自身の中にあったのでしょうか?それとも、試行錯誤の末にたどり着いた方法でしょうか?その中で周りにどなたかアドバイスをしてくれるような人はいましたか?

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ジャック

タイの社会起業家でもあるミーチャイ上院議員(Mechai Viravaidyaミーチャイ・ウィーラワイタヤ:タイの上院議員Senator)です。私にとって彼は良き師のような人で、繊細な人は、ユーモアを活用したこの類の仕事をすることはできないと教えてくれました。また、ミーチャイ議員は、社会起業家として活動する上で、重要なのは己の存在ではなく、解決すべき課題そのものだと気づかせてくれました。

画像ジャック・シム(写真右)とミーチャイ上院議員(写真左)

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ジャック

自意識を取り払ってしまえば、己の存在が問題解決の障壁になることはありません。他人からどう見られるか、ということは重要ではなくなるのです。私は公衆衛生に関する重要なメッセージの伝達手段のひとつにすぎません。

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非常に困難な問題に対しても真剣に取り組む姿勢があるからこそ、ユーモアが人と人を結びつけることにつながると…

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ジャック

そうですね。そのユーモアに筋が通っていて面白いものであればこそ、人々の心に響くのでしょう。

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それでもユーモアは国や文化によって異なるものだと思いますが、メッセージを伝える上でどういったことを心がけていますか?

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ジャック

確かにユーモアは文脈に依存するため、普遍的ではありません。以前、二人の政治家と共にパネルディスカッションに参加したことがあるのですが、一人は「トイレの問題が最優先だ!」と主張し、もう一人は「宗教施設の問題が最優先だ!」と主張したため、議論が噛み合わない状況でした。そこで私は「宗教施設を利用して、トイレの問題に取り組むのはどうでしょうか?」と提案しました。それを聞いた二人の政治家は笑い出しました。ユーモアが一方的な主張を双方向的な対話に変えることができた好例だと思います。一方で、国によっては品性に欠ける話題を持ち出さないよう求められることがあります。もちろん、品性のない言葉を使わなくても笑い自体は成立しますから、それぞれの国や文化的文脈に合わせ、どういったユーモアが適切か、よく考えています。

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ユーモアを使うという発想の原点について、もう少し教えてください。元来お笑い好きで、ひょうきん者だとおっしゃっていましたが、WTOの活動を始める以前の仕事においてもユーモアを駆使してお仕事をされていたのでしょうか?

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ジャック

クライアントと一緒に食事をする時、仕事中も彼らを笑顔にすることを常に心がけていました。人は幸せな気持ちで仕事をすることができたら、また一緒に仕事をしたいと思いますよね。特にストレスの多いビジネスの現場において、笑いはセラピーのような役割も果たしてくれます。ビジネスにおいても、人間関係を改善し、仕事上の成功をもたらしてくれる潤滑油として、ユーモアが力を発揮しました。

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ご家族はあなたと同様にユーモラスなのですか?

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ジャック

私の4人の子供たちはそれぞれに少しずつ違いはありますが、私からユーモアの精神を受け継いでいるようです。どんな子供でもひょうきんな面を持っていると思います。しかし、大人たちは子どもたちにふざけてはいけないと言い聞かせます。私から皆さんにアドバイスするとしたら、子供は子供らしいまま個性を育み、四角四面な大人へ誘導しないことです。私は64歳になりましたがまだ小さな子供のように振舞っています。これが最高の生き方だと思っています。

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時代にあったユーモアを提供する秘訣を教えて頂けますか?

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ジャック

私は24年間、ずっとトイレ問題のことを世界各地で語り続けていますが、常にユーモアの鮮度を保っています。なぜ?と言われるなら、それは台本のない、自然発生的なユーモアだからでしょう。

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ハリウッドのハードロックカフェでの一件も「自然発生的ユーモア」の例でしょうか。どういった経緯でハードロックカフェのお客さんの前で踊ることになったのですか?

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ジャック

ハリウッド大通りでドキュメンタリーを撮影していたのです。ミスター・トイレという架空のキャラクターに扮して、スーパーヒーローの衣装を着た人たちと写真を撮ったりしていたのですが、通りかかったハードロックカフェの中を覗いたら人々が踊っていることに気がつきました。「ジャック、行け!一緒に踊っちゃえ!」撮影監督にけしかけられるまま、お店の中に入って一緒に踊りましたよ!踊っている人たちはノリが良く、とてもフレンドリーでした。このような一瞬のチャンスを見逃さないことが大切ですよ。

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コロナ禍の中、恐怖心や不安感が世界を覆っています。こうした状況下で、どのようにユーモアの力を活用することができますか?

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ジャック

新型コロナウィルスの蔓延は深刻な事態をもたらしましたが、そのような深刻な問題を語る時にもユーモアが手助けとなる場合もあります。例えば、ソーシャルメディアの投稿を通じて手洗いの重要性を伝えるのにユーモアを活用することもできると思います。

ユーモアを使って社会的課題の認知を高める方法として、今年作ったTシャツもあります。背中側には下着をつけていない裸のお尻(英語ではa bare bottom)のイメージを、前側に「Bare Necessity」というメッセージをプリントしました。今でも世界の20億人はトイレのない生活を送っています。(Bare necessityは「最低必需品」という意味で、bare bottom(裸のお尻)とかけたジョーク)もちろんTシャツにプリントされたお尻のイメージはユーモアですが、同時に世界の深刻な状況を伝えるメッセージにもなっています。
一見するとぎょっと驚くようなメッセージであればあるほど、人々の記憶に残るものです。そして、そのメッセージを気に留めてくれた人たちが、活動の支援者となる。型破りな方法としてユーモアを使いながら、支援の輪を広げることができるのです。

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毎年11月19日は「世界トイレの日(World Toilet Day)」です。WTOではこの日にトイレの問題、公衆衛生の問題を考える国際会議を世界各地で開催しています。

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ANAは、BLUE WINGプログラムを通じて世界中を飛び回るチェンジメーカー、ジャック・シムのフライト代を支援しています。フライト代の費用負担を軽減することで、ジャックが本来の活動に集中するための手助けになります。

あなたもBLUE WINGプログラムに参加しませんか?

たった数回のクリックで、ジャックのようなチェンジメーカーの活動を支援することができます。BLUE WINGウェブサイト経由で航空券のご購入(追加費用無し)や、支援したいチェンジメーカーに直接マイルを寄付していただくと、世界のさまざまな地域の人々が直面する課題の解決や、そこで暮らす人々の生活を変えることにつながります。

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ジャック・シム

貧しい家庭で育つも起業家として成功する。不況の煽りで資産をなくしたことをきっかけに、40歳で社会貢献活動に身を投じることを決意する。98年「Restroom Association of Singapore(RAS)」を結成。「ミスタートイレ」として、当時タブーとされていた公共の場でトイレについて語り始める。01年には「World Toilet Organization(WTO)」を設立、11月19日を「世界トイレの日」と宣言する。その後2005年建設規定の改定を実現することで、具体的な環境改善に成功。以後この規定がシンガポールのみならず、世界が採択する規定へと成長する。

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